近視について
近視とは、眼球の長さ(眼軸長)が長かったり、角膜の形状によりピントが合わず、遠くが見えづらい状態です。
近年、スマートフォンの普及など私たちの生活環境の変化に伴い、子ども近視の増加と重症化は世界的な問題となっています。世界では全人口の約35%が近視であり、この数は2050年までに全人口の半数に達すると予測されています。特に、アジアでは、子どもの約80~90%が近視になると言われており、社会的にも大きな課題となっていることがわかります。
また、近視は、緑内障や網膜剥離等の目の病気の将来リスク上昇の原因となることが疫学データで明らかになっています。その為、人生100 年時代を生きる子どもたちの「見え方」を、生涯にわたって良好に保つためには、子ども時代に近視を発症・進行させない取り組みが重要です。
近視は、遺伝と環境の両方が関与し平均20歳くらいまで進行します。


裸眼視力がおよそ0.3以下になると、教室の一番前でも眼鏡が必要です。学業に支障が出る場合があるため、視力「0.3~0.5」を基準に眼鏡装用を考えましょう。眼鏡のつけ外しが原因で、近視が進むことはありません。なお、眼鏡の度数を弱めにしても、近視の進行抑制はできません。
物を見ようとする時、眼の筋肉が緊張してピントを合わせます。幼児や小学生では、ピント調節を行う筋肉の緊張が強く、通常の視力検査では正確な値が分からない場合があります。
その為、視力がでにくい場合、眼の筋肉を休ませる目薬を点眼して調節力を取り除き、精密な検査を行う必要があります。小学生の初眼鏡の作成時、急激な近視進行時、近視予防治療開始前、仮性近視・弱視の診断の際等に用いられます。
近視進行抑制の重要性
近視は一度進行すると元に戻せないため、特に成長期のお子さまでは、進行を抑えることがとても重要です。早めに適切な治療を始めることで、将来の視力低下や目の病気のリスクを減す他、生活の質(QOL)の向上にもつながります。
近視進行を抑制する方法
今の子どもは親世代に比べて、明らかに近視が増加し、若年化している状態です。このような急激な変化は遺伝だけでは説明できず、環境が大きく関与していると言われています。子どもの近視進行の抑制の方法として、以下のようなものがあげられます。
●日中に外で過ごす(1日2時間)
●読み書きは 30cm 以上離し、30 分に一度は遠くを見る
●食品成分クロセチンの摂取
●オルソケラトロジー治療
●多焦点ソフトコンタクトレンズ
●低濃度アトロピン点眼薬(リジュセアミニ点眼液)
●こまめな視力チェックと適切な対応
※上記は一例です
リジュセア®ミニ点眼液 0.025%とは?
2024年12月27日、参天製薬の**「リジュセア®ミニ点眼液 0.025%」(アトロピン硫酸塩点眼液)が、近視の進行抑制を対象疾患とする点眼薬として正式に承認されました。このお薬は、小児の近視進行を抑えるための治療法です。
リジュセア®ミニ点眼液 0.025%は、「アトロピン」という成分を低濃度で配合し、1日1回就寝前の点眼を継続することで、目の長さ「眼軸」の伸びを抑え、近視の進行を遅らせる効果が期待されています。また、防腐剤を含まない一回使い切りタイプの製剤で日々の点眼も安心です。
これまで、日本国内では近視進行抑制を目的としたアトロピン点眼薬は未承認だったため、治療を希望する方は、海外からの個人輸入に頼るケースが一般的でした。しかし、この「リジュセア®ミニ点眼液 0.025」が日本で初めて正式に承認されたことで、今後は国内で認可された点眼薬で同様の治療を受けられるようになります。
リジュセア®ミニ点眼液は、近視研究で先進的なシンガポールの機関と参天製薬が共同で開発、最新の研究成果を活用しているため、安全性と効果がしっかりと確認されているそうです。
リジュセア®ミニ点眼液の効果・特徴
- 効果: 臨床試験で、2年間の使用により近視の進行を抑える効果が確認されています。
- 持続性: 効果は最大で3年間持続すると報告されています。
- 安全性: 高濃度アトロピンに比べ、副作用が少なく、日常生活への影響はほとんどありません。重篤な副作用は認められていませんが、まれに明るい光をまぶしく感じる(光過敏症)ことがあります。
- 使いやすさ: 1回使い切りタイプで、清潔に使用できます。
- 費用: 公的医療保険の適用外となり、自費となります。
この治療法が向いている方(適応条件)
● 軽度から中等度の近視(-1.0D~-6.0D)
● 6歳から12歳くらいまで
● 定期的に通院が可能な方
● 就寝前に点眼が可能な環境の方
※上記は一例で、実際の検査・診察にて判断します
診療の流れと予約方法
アトロピン点眼液を使用した治療は、完全予約制です。
治療開始後は、定期的にご来院いただき、近視の進行や目への影響をしっかりと見守りながら進めていきます。
● 初日
視力、眼圧、眼軸長の測定を行い、医師が目の状態を確認します。
点眼薬の使い方や注意点を詳しく説明し、1か月分の点眼薬を処方して治療をスタートします。
● 1か月後
再来院して、効果や副作用の有無を確認します。
次の3か月後検診までの点眼薬を継続処方します。
● 3か月ごと
3か月毎の定期的な診察で、視力や眼軸長の変化を確認します。
次回の検診までの点眼薬を継続処方し、治療を進めます。
ご予約方法
リジュセアミニ点眼液 0.025は、正式に販売開始され次第、この治療に対するご相談や診療予約受付を開始いたします。開始時のお知らせを受け取りたい方は、以下のフォームからご登録ください。
注意事項
現在の情報は販売前のお薬に関するものであり、診療内容や薬の仕様が変更になる場合があります。最新情報は、販売開始後にお知らせいたします。
小児近視治療に関するご相談はこちら
「お子さまの近視進行が気になる」「どんな治療ができるか知りたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。経験豊富な医師とスタッフが対策・治療法をご提案します。近視抑制についての診療については、「上田院長」の予約枠にてご予約ください。 なお、検査が必要になりますので、必ずお子さまと一緒にお越しください。