黄斑とは?
黄斑(おうはん)は、網膜の中心にある「ものを見るための最も大切な部分」です。新聞やスマートフォンの文字を読んだり、色を見分けたり、細かい作業をしたりする際に働きます。黄斑が正常に機能していることで、細かいものをくっきりとはっきり見ることができます。
黄斑前膜とは?
黄斑前膜とは、黄斑の表面に「うすい膜」ができる病気です。
この膜が黄斑を引っ張ることで、網膜の表面がしわのように歪み、見え方に影響を及ぼします。
【主な症状】
黄斑前膜の初期症状は気づきにくく、片目で見たときに次のような違和感が出るのが特徴です。
- 線が波打って見える(ゆがみ)
- 文字が歪んで見える
- 大きさが左右で違って見える(視覚のズレ)
- 視力が少しずつ低下する
片目ずつで見たときに気づくことが多く、両目で見ると違和感を感じにくいことがあります。
黄斑前膜の原因
目の奥には「硝子体(しょうしたい)」と呼ばれる、ゼリーのような透明な組織があります。この硝子体は年齢とともに少しずつ縮んで、網膜(もうまく)という薄い膜から自然にはがれていきます。
そのとき、黄斑の表面に細かい細胞が残って「うすい膜」ができてしまうことがあります。この膜が黄斑を引っ張るようになると、ものがゆがんで見える「黄斑前膜」が起こります。
【主な原因】
- 加齢による硝子体の変化(最も多い原因です)
- 網膜剥離やぶどう膜炎など他の目の病気に伴うもの
- 糖尿病網膜症など慢性疾患が背景にある場合も
黄斑前膜は50代以降で多くみられますが、年齢に関係なく発症することもあります。
黄斑前膜の治療法
黄斑前膜の治療は、症状の強さや進行の速さによって変わります。多くの方は、まず定期的な検査で経過を見ながら治療のタイミングを判断します。
視力が保たれており、ゆがみが軽い場合は、すぐに手術を行わずに経過観察を行います。OCT(光干渉断層計)という検査で黄斑の状態を確認し、膜の厚みや変化がないかをチェックします。この段階では、日常生活に支障がなければ治療を急ぐ必要はありません。
一方で、視力が0.8前後まで低下している、または線や文字のゆがみが強くなってきた場合には、硝子体手術(膜はく離手術)によって膜を取り除く方法を検討します。手術後は数週間〜数か月かけて徐々に見え方が安定していきます。ただし、膜が厚くなったり長く放置していた場合は、手術をしてもゆがみが残ることがあります。
視力が大きく落ちてからでは回復が難しくなるため、早めの受診と定期的な検査が重要です。(※手術を検討する目安や回復の経過には個人差があります。一般的には、標準的な治療方針に沿って専門医が判断します。)
日本網膜硝子体学会(JRVS)公式サイト:https://www.jrvs.jp/
治療と早期発見の重要性
黄斑前膜は、初期の段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行することがあります。
そのため、見え方に大きな変化を感じていない場合でも、眼科での定期検査が重要です。
眼科では、視力検査に加えて、OCT(光干渉断層計)検査を行うことで、黄斑の形や膜の状態を詳しく確認することができます。 これにより、症状が軽いうちから変化を捉え、適切なタイミングで経過観察や治療の判断が可能になります。
特に、加齢とともに目の病気のリスクは高くなるため、定期的に眼科を受診し、目の状態をチェックしておくことが大切です。眼科受診に加え、日常生活の中でも、次のような点に注意してみることもおすすめです。
ご自宅で気づきやすいポイント
- 片目ずつで見たときに、文字や線が曲がって見えないか
- 以前よりも文字が歪んで見えたり、読みづらくなっていないか
- 左右の目で見え方に違いを感じないか
このような変化に気づいた場合は、早めに眼科を受診することが大切です。
特に、糖尿病や網膜の病気がある方は、症状がはっきりしない段階でも変化が進むことがあります。
定期的な眼科受診・適切な検査を受けることで、黄斑の状態を詳しく確認することができます。
まとめ
黄斑前膜は、見え方のゆがみや視力低下を引き起こすことのある、主に加齢に関連した病気です。
放置すると徐々に進行し、状態によっては手術を行っても見え方のゆがみが残ることがあります。
「片目で見ると線が曲がって見える」「最近、文字が歪んで読みにくい」と感じる場合は、早めに眼科で検査を受けることをおすすめします。